3.小林多喜二への書簡

今回は展示予定の最新の貴重な資料のひとつ、志賀直哉から小林多喜二への書簡をご紹介します。前にも触れましたが、佐野さんにとって志賀直哉と小林多喜二はともに敬愛する文人ですから、これはぜひとも手に入れたいものだったのでしょう。幸運にも、運命とも言うべきか、入札でなんと八千円の差で手に入れることができたんだそうな。

ちなみに、この資料はその世界ではきわめて有名なものだそうで、入札には多くの人が参加したそうです。

もうひとつ付け加えるならば、この書簡が送られてまもなく、小林多喜二は官憲の手による拷問で惨殺されたのでした。

多喜二1
多喜二2
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手紙は、基本的には多喜二に対する高い評価と激励の内容です。
どんな思想をもつことも自由であるが、文学は決して思想の道具となってはならないというニュアンスも含めて。実際には『主人持ちの文学』(共産党のプロパガンダ)とならないように、という記述のようです。

この手紙を受け取って、小林多喜二はひどく喜んだということが伝えられています。このすぐあとに悲惨な結末を迎えることになってしまいましたが。
これも私たちの歴史のひとつだということを冷静に受けとめる必要があるでしょうね。