22.雑誌「工藝」120号揃全120冊新着!!

平成14年度七夕大入札会(古典、古書入札会)にて、民芸運動の機関誌として昭和6年 (1931)創刊された雑誌「工藝」を、昭和26年(1951)の最終号まで全巻揃いで120冊を落札、このたび入館した。
なおこの入札会では、上記のほか富本憲吉の自刻版画集、書簡8通、葉書中河与一宛ほか11枚、画幅「竹林月夜」、柳宗悦書幅「山高シ渓深シ」長与善郎画幅「東大寺お水取りの図」などもあわせ落札し入館した。

1.雑誌「工藝」について
柳宗悦は民芸の理論付けとして「工藝の美」(昭和3年1928)で
○ 工藝の美は健康の美である
○ 用と美が結ばれるのが工藝である
○ 器に見られるのは無心の美である
と説いている。

雑誌「工藝」では、各号ごとにテーマを定め、まさに民芸運動の理論と実践のお手本として小間絵(挿絵)、写真のほか、漆、手織り布見本の実物などを貼り込み、関連の解説で新旧の工芸作品を掲載し続けた。
この雑誌を通し、柳宗悦の思想に共鳴賛同する人々も徐々に増加し、昭和9年(1934)に日本民藝協会が発足、ついには昭和11年10月(1936)大原孫三郎の支援による日本民藝館の設立へと繋げる画期的ともいえる重要な役割を果たすことになる。

写真:「工藝」
2.「工藝」の概要と20年間の推移
今回の紹介文作成のため、文学館ボランテアスタッフとともに、「工藝」120冊を直接手にとって1冊ずつ通覧し、その装丁、用紙、印刷、内容などに触れての感想は、大げさではなく「正に生きていることへの感謝」を覚えるほどの感動,感嘆の連続であったことを報告せねばならないだろう。通覧の結果概要は以下の通りである。

(1)装丁:大部分が手織り本染め布表紙で芹沢_介が担当。その後漆絵題字は鈴木繁男の手書き、 版画は棟方志功、川上澄生等
(2)小間絵(挿絵):富本憲吉、河井寛次郎、芹沢_介、リーチ、棟方志功等
(3)本文:柳宗悦、河井寛次郎、濱田庄司、富本憲吉、リーチ、一部に志賀直哉、梅原龍三郎、式場龍三郎、青山ニ郎等

創刊時のエピソードとして、柳としては当初「民藝」と名前を考えていたが、編集担当の青山ニ郎(後白洲正子の師)は「工藝」を強く推しそれに決まったという。(第12号編集余禄)
創刊号は500冊限定、半年分6円前納、第4号から600、第25号から800、第53号から900、昭和10年(1935)第59号から1000冊、昭和18年から2000冊という経過をたどる。
価格も会員会費で昭和6年当初の年額12円から、同14年18円、同18年30円、同22年360円、同23年は1冊80円、昭和26年の最終号は定価なしの非売品と時代の流れを映している。棟方志功は、昭和11年4月(1936)国画展に於いて、柳宗悦、濱田庄司と運命的な出会いをする。棟方33歳の春のことである。京都の河井寛次郎の家から帰ってまもなくの7月「工藝」第65号より小間絵(挿絵)を担当し同11年12月第71号で早々と棟方志功特集が組まれる。芹沢_介、濱田庄司等の特集が組まれたのはその翌年である。なにはともあれ、是非一度白樺文学館までお運びいただき、手作り雑誌「工藝」を自らの眼で直下に確認されますことを強くお勧めする。