42.第20回面白白樺倶楽部開催報告

平成15年1月11日(土)「文学の源・万葉にみる愛とロマン」
講師 村山祥峰(三樹荘当主)

講師の村山祥峰さん
講師の村山祥峰さん
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1月11日(土)午後2時より、今年最初の「面白白樺倶楽部」が開催されました。講師は、昨年1月にもご講演いただいた「三樹荘」当主であり、歌人の村山祥峰先生。昨年は、「三樹荘と北の鎌倉」と題して、かつて三樹荘に住み、芸術活動をした柳宗悦、及び白樺派の文人達についてのお話でした。

今年のお話は、「文学の源―万葉にみる愛とロマン」という題で、まずは、「万葉集」の概略についての解説から始まりました。さらに、「万葉集」の中でも、特にこの地方にゆかりの深い東歌の数首をとりあげ、「東女の愛の形・歌とその真情」という項の中で、解釈・鑑賞をしてくださいました。

筑波嶺の新桑繭(にいくわまよ)の衣(きぬ)はあれど
君が御衣(みけし)しあやに着欲しも

筑波嶺の新しい桑の葉で飼った蚕の繭、春の一番繭で織った美しい着物も私は持っていますが、それよりも、あなたと共寝をし、衣を交換し合って、あなたの衣をこそ、わたしは着たいのですよ。

にほどりの葛飾早稲を贄(にえ)すとも
そのかなしきを外(と)に立てめやも

葛飾でとれた早稲の稲を神に供える時は、精進潔斎してひとり家に籠もり、人を屋内に入れてはならないのですが、もしそれがいとしいあなたなら、別です。どうして外に立たせたままなどにしておきましょうか。

これらの東歌を詠んだのはいずれも女性・・・、無名の庶民ですが、その恋の歌は、まごころと率直さに裏打ちされて、現代の我々の心を打つ強さを持っています。そのため、結果的には、当時の為政者の名よりも後代に残るものとなりました。芸術や文学は、時間を超えた永遠性を持って、今の我々の心にじかに語りかけてくる生命力をもつと、時にユーモアを交えつつ、お話ししてくださいました。
左から伴奏の山中さん、韮塚さん、大谷さん
左から伴奏の山中さん、韮塚さん、大谷さん
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また、その後のサロン・コンサートでは、韮塚槙子氏・大谷直子氏のお二人が、美しいソプラノで、まず、村山先生作による短歌二首を、メロディにのせて歌ってくださいました。(伴奏 山中友子氏)

初春を寿ぎ祭る白樺の文学の館にアルトひび交ふ

大正のロマンを秘めて白樺の文人達の験(しる)きぬくもり

和服で司会する西村さん
和服で司会する西村さん

全員で合唱
全員で合唱(クリックで拡大)
続いて、竹久夢二「宵待草」、石川啄木「初恋」、また山下清の一生を描いたドラマの主題歌「野に咲く花のように」など、次々と独唱、あるいは二重唱で歌われ、そののびやかな美しい歌声は、館内中に響き渡り、聴衆を魅了しました。
また、コンサート最後には、「皆さんもご一緒に」とのお誘いで、「浜辺の歌」「早春賦」を、我々も加わって大合唱・・・。
新年にふさわしい、楽しく豊かなひとときをすごしました。

その後の新年を祝ってのビア・パーティでは、出席者の皆様から文学館への期待や励ましのお言葉を頂戴し、我々スタッフ一同たいへん感激いたしました。
和やかに懇親会
和やかに懇親会(クリックで拡大)

中締めは石曽根さん
中締めは石曽根さん
今年も、昨年やり残したこと、新しい企画の試みなど、いくつかの課題を抱えてのスタートです。どうぞ、本年も文学館の活動を見守ってくださいますよう、よろしくお願い申し上げます。